5月25日から開催中のGoogle Cloud Day: Digital ’21。目を引くタイトルが多い、ブレイクアウトセッションに注目したい。
「データ基盤・分析」セッションでは、MLアーキテクチャの選定理由など参考にできそうな情報だけでなく、各社の事情が垣間見えるちょっとした苦労話も聞けた。本稿では1日目の5月25日に実際されたセッションの一部を紹介する。1セッション30分程度、オンデマンド視聴も可能(参加登録だけで閲覧できる)なので、ぜひチェックしてみては。
「BigQuery を活用したデータ分析プラットフォームの優位性と課題とは?」アスクル株式会社 児玉 和寛
アスクルが3年越しで取り組んできた、ビッグデータ環境移行プロジェクト。分散していたプラットフォームをBigQueryに一元化した話。
かつての同社のビッグデータ環境(SAS、Netezza)は「問題だらけ」だったという。
- キャパシティ問題:ディスク使用率が90%前後になりデータ連携できない。物流データを追加する余地がない
- 分散処理問題:ユーザ増により多重実行が発生、3分で終わる処理が1時間かかる
- データ鮮度の低下:トランザクション数が膨大なため、バッチ処理では2〜3日前のデータを取り込まざるを得なかった
クラウド環境を用意しそれぞれの問題を解決しようとするも、プラットフォームが分散化。いざGoogleCloud導入を決めるも、ボロボロのPoCや保守切れのプレッシャーなど、プランニングが難航。システム稼働までの道のりを語る。
「世界中のお客様の声を収集・AI で分析し、日々全社員が意思決定!Customer Driven の新しい経営の形」株式会社ファーストリテイリング 大谷 晋平・堀川 茂
これまで店舗、物流、カスタマーセンター……とそれぞれの部署で顧客の声・数値情報などを蓄積・管理していた同社。企画・生産・販売すべてのビジネス工程をデジタルデータでつなぐ取り組みの中心になる「データ一元管理プラットフォーム」をGoogle Cloudで構成している。
セッションでは全社の情報を一箇所にまとめ可視化するための「お客様の声分析基盤アーキテクチャ」(実行基盤)を紹介している。運用基盤、管理についても一部触れた。
「製造業における Google Cloud を活用した全社データ利活用推進の進め方とは?」ヤマハ発動機株式会社 大西圭一
デジタル戦略部を発足してから3年で、データ分析官研修の参加者が400人超えと、社内のデータ分析リテラシーの向上、データ利活用の土壌が整いつつある同社。営業・マーケティング部門の効果測定や売上予測、製造部門での異常検知、さらにはコーポレート部門での出席率可視化など、データ分析専門チームに頼らない「データ分析活動民主化」を進めているという。
現場がデータ利活用を主導する体制をいかに進めていったのかを語る。
「100 億人のユーザー行動からインサイトを得るための大規模分析基盤 〜BigQuery を活用して〜」株式会社プレイド 春日 瑛
同社のhogehogeツールKARTEを支える、分析基盤アーキテクチャを紹介。一日6000万行、毎月20億行ものデータを集計する同社の、BigQueryの活用ポイント(高速検索、カラムの最適化など)や工夫点がていねいに説明されている。
Google Cloud Day: Digital ’21は2日目もデータ・分析基盤のブレイクアウトセッションが催され、リクルート、DeNAなどが登壇。14:00からは機械学習がテーマのセッションも開催される。