文科省が67校の教育プログラムを認定 年間50万人が初級レベルのAI・データサイエンスを学ぶ

文部科学省は8月4日、令和3年度「数理・データサイエンス・AI教育プログラム(リテラシーレベル)」(第2回)で67件の教育プログラムを認定したと発表した。第1回と合わせ、計78の教育プログラムが認定されたことになる。

同プログラム認定制度は、「数理・データサイエンス・AIに関する基礎的な能力の向上及びその機会の拡大を図る」、つまり国が数理・データサイエンス・AI教育に取り組む大学や高専を支援するもの。大学・高専で学ぶ年間50万人(文理問わず)のデータサイエンス・AIのリテラシーレベルを引き上げる。


「2020年3月数理・データサイエンス・AI教育プログラム認定制度検討会議」資料より

学生の数理・データサイエンス・AIへの関心や、適切に理解し活用する基礎的な能力を高めるため、体系的な教育を行っている大学・高専の正規の課程(教育プログラム)を文部科学大臣が認定及び選定。学生に広く実施される教育プログラム(全学開講)であり、学生の関心を高め、かつ、必要な知識及び技術を体系的に修得できる、などの認定要件が挙げられている。

独自の工夫があるプログラム「プラス」には、11件が選定

今回認定された67件のうち、「数理・データサイエンス・AI教育プログラム(リテラシーレベル)プラス」として11件が選定された。いずれも先導的で独自の工夫・特色を有するものとして評価されている。
各プログラムの詳細は、以下リンクが詳しい。

>>認定結果(第2回)

北海道大学:北海道大学数理・データサイエンス教育プログラム 一般教育プログラム
・産学連携型人材育成基盤「北大モデル」を提案し、産官学地域が連携するコンソーシアム等を形成の上、共同研究の中で教育・人材育成を実施
・1年次に全員が当該プログラムを履修することになっている

東北大学:AIMDの基礎/挑創カレッジコンピュテーショナルデータサイエンスプログラム(CDS)
・「東北創生国立大学アライアンス」によるカリキュラムの共同開発、AI人材育成支援に実績のある企業とeラーニング教材を共同開発
・1年次に全員が当該プログラムを履修することになっている

筑波大学:データサイエンス・リテラシープログラム
・様々な専門分野のビデオ講義をOCWとして提供、協定を締結した海外7か国の「Campus-in-Campusパートナー大学」へ授業を開講
・令和元年度以降入学の学生全員が当該プログラムを履修することになっている

千葉大学:学術発展科目群数理・データサイエンス科目
・民間企業との共同研究協定のもと、教材及びLMSシステムを開発
・1年次に全員が当該プログラムを履修することになっている

滋賀大学:滋賀大学数理・データサイエンス・AI教育プログラム
・多数の民間企業等と連携し、実データを用いた分析や演習等を実施、MOOC教材の全国無料配信
・令和4年度以降入学の学生全員が当該プログラムを履修する計画になっている

九州大学:低年次データサイエンス教育
・「データサイエンス教材バトル」において模擬講義や意見交換を実施、データサイエンスインターンシップの実施

山陽小野田市立山口東京理科大学:数理・データサイエンス・AI教育プログラム
・薬工連携による教育、地方自治体との連携による課題解決型文理融合教育

北海道医療大学:医療系大学での学びあいと内製AIによる学修者本位の教育
・協働学修などの「学生どうしの学びあい」と「内製したAIの活用」による学修教育支援
・令和4年度以降入学の学生全員が当該プログラムを履修する計画になっている

金沢工業大学:KIT数理データサイエンス教育プログラム
・数理解析に特化した企業と共同で教材開発することにより、教材にも産業界の視点を取り入れている
・1年次に全員が当該プログラムを履修することになっている

久留米工業大学:地域課題解決型AI教育プログラム(リテラシー)
・地域及び産業界との連携によるAIを用いた課題解決型学習の実施、専用に開発したLINE AI チャットボットによる学習支援
・令和2年度以降入学の学生全員が当該プログラムを履修することになっている

長岡工業高等専門学校:AIR Techエンジニア育成プログラム
・AIルームの設置、産学官連携(長岡市内3大学、長岡市役所、長岡商工会議所)による多様な教育機会の提供
・1年次に全員が当該プログラムを履修することになっている

認定教育プログラムの紹介

第2回で認定された、67件のプログラムを以下に挙げる。「プラス」で選定されたものも含んでいる。

国公立大学

国公立大は28校の教育プログラムが認定された。第1回では和歌山大学と岡山大学の教育プログラムが認定されたので、86校中30校でAI・データサイエンスの基礎レベルのカリキュラムが用意されている、といえる。

私立大学・短期大学

私立大学や短期大学は、各大学の特色がカリキュラム名にも現れている。久留米工業大学の「地域課題解決型AI教育プログラム(リテラシー)」や、昭和学院短期大学の「Society5.0に向けた栄養士・保育者・ビジネスのためのICT教育」などが特徴的だ。

高等専門学校

高専では、ICT開発スキルなどと組み合わせたプログラムが目立った。

>>令和3年度「数理・データサイエンス・AI教育プログラム(リテラシーレベル)」の認定・選定結果について:文部科学省